
飲食店を開業するのに許可は必要?

レストランやカフェなど食品を扱う飲食店を開業するためには、その提供する内容に合わせて「営業許可」を取得しなければいけません。
本記事では、飲食店を開業するにあたり必要な営業許可について、取得要件や方法、ポイントなどをわかりやすく解説します。
- 1. 飲食店を開業するのに許可は必要?
- 1.1. 食品を扱う営業許可はたくさん種類がある
- 1.2. 飲食店営業許可とは?
- 1.3. 飲食店営業許可の要件
- 1.3.1. 食品衛生責任者を施設ごとに1名以上配置すること
- 1.3.2. 保健所が定めた施設の基準を満たすこと
- 1.3.3. 許可を受ける者が欠格要件に該当しないこと
- 2. 飲食店営業許可取得~営業開始の流れ
- 2.1. 手順1_保健所に事前相談を行う
- 2.2. 手順2_申請書類を提出する
- 2.3. 手順3_保健所の立会い検査を受ける
- 2.4. 手順4_飲食店営業許可証の交付を受ける
- 2.5. 手順5_営業開始(実は許可証交付前でも開始できる)
- 3. その他の必要な届出
- 3.1.1. 防火対象物使用開始届(消防署):原則すべての方
- 3.1.2. 防火対象物工事等計画届(消防署):工事を実施する場合
- 3.1.3. 防火管理者選任届(消防署):収容人数30人以上
- 3.1.4. 消防計画作成届(消防署):収容人数30人以上
- 3.1.5. 深夜酒類提供飲食店営業開始届(警察署):深夜0時以降の酒類提供
- 3.1.6. 風俗営業許可(警察署):客の接待を伴ったり低照度で営業する場合
- 4. まとめ
食品を扱う営業許可はたくさん種類がある
一口に食品を扱うための営業許可といっても、32種類もあります(令和3年6月1日改正)。提供しようとする食品や営業形態によって該当する営業許可を取得しなければいけません。
具体的な許可の区分は次のとおりです。
| 飲食店営業 | 調理機能を有する自動販売機 | 食肉販売業 | 魚介類販売業 |
| 魚介類競り売り営業 | 集乳業 | 乳処理業 | 特別牛乳搾取処理業 |
| 食肉処理業 | 食品の放射線照射業 | 菓子製造業 | アイスクリーム類製造業 |
| 乳製品製造業 | 清涼飲料水製造業 | 食肉製品製造業 | 水産製品製造業 |
| 氷雪製造業 | 液卵製造業 | 食用油脂製造業 | みそ又はしょうゆ製造業 |
| 酒類製造業 | 豆腐製造業 | 納豆製造業 | 麺類製造業 |
| そうざい製造業 | 複合型そうざい製造業 | 冷凍食品製造業 | 複合型冷凍食品製造業 |
| 漬物製造業 | 密封包装食品製造業 | 食品の小分け業 | 添加物製造業 |
店内で飲食をさせるだけであれば、基本的には「飲食店営業」の許可ということになります。
一方、テイクアウト型のパン屋さんであれば「菓子製造業」、ジェラート屋さんなら「アイスクリーム類製造業」の許可が必要ということになります。
ここでは、もっとも一般的な店内で飲食をさせる飲食店営業の許可について説明します。
飲食店営業許可とは?
飲食店営業許可とは、レストランやカフェなどの食品を扱う営業を行うために必要な許可で、食品衛生法という国の法律に基づいて保健所が許可するものです。
飲食店を開業するためには、誰でも取得することが必須の許可です。無許可で営業をすると食品衛生法違反となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されることもあります。
このほか、深夜0時以降にお酒を提供する場合には「深夜酒類提供飲食店営業開始届」、お客様にお酌をするなどの接待行為を伴う場合には「風俗営業許可」も必要になります。
飲食店営業許可の要件
飲食店の営業許可を受けるためには、主に以下の3つの要件を満たす必要があります。
要件
- 食品衛生責任者を施設ごとに1名以上配置すること
- 都道府県が定めた施設の基準を満たすこと
- 許可を受ける者が欠格要件に該当しないこと
それでは、個別に内容を見ていきます。
食品衛生責任者を施設ごとに1名以上配置すること
営業許可を受ける施設ごとに1名以上、食品衛生責任者を置かなければなりません。
食品衛生責任者には、以下の方がなることとができます。
① 栄養士・調理師・製菓衛生士等の有資格者
② 都道府県知事等が行う食品衛生責任者養成講習会の受講修了者
これから、個人で開業されるかたは、オーナーさん自身が食品衛生責任者になることが多いです。その場合、①の資格をお持ちでない場合は、②の講習会を受けることになります。
この講習会は、東京都の場合、一般社団法人東京都食品衛生協会が実施しています。費用は12,000円で会場型とオンラインのeラーニング型があります。早めに申込み、取得するようにしましょう。
保健所が定めた施設の基準を満たすこと
店舗が飲食店として、衛生面や安全面で十分な基準を満たしている必要があります。
これは申請時に書類上の審査だけではなく、保健所の職員による立会い検査も実施され合格しなければなりません。
細かな基準については、自治体ごとに異なることもあるので、必ず事前に管轄の保健所に相談するようにしましょう。
ここでは、保健所が行う検査のポイントについて一例をご紹介します。
- 店内の区画
使用用途によって間仕切り等により必要な区画がされているか。また、工程を踏まえた施設設備が敵札に配置されているか。
厨房と客席の間が何の間仕切りもない構造はNGです。 - 更衣場所
従業員の数に応じて十分な広さがあり、作業場と明確に区画された清潔な場所となっているか。 - 厨房の床
清掃がしやすく耐水性のある素材で作られ、排水を促す勾配がついているか。 - 照明設備
必要な照度を確保できる機能を備えているか。
・施設内(客席を除く):50ルクス超
・客席:10ルクス超(10ルクス以下5ルクス超で営業する場合は風俗営業として許可が必要) - 換気
食品を扱う作業を行う場所の真上は換気が適切にできる構造又は設備を有しているか。
店内が十分に換気ができる構造又は設備を備えていなければなりません。 - 駆除設備
ネズミ・昆虫等の侵入を防ぎ、侵入した際の駆除する対策(設備)がなされているか。 - 手洗設備
従事者の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗設備を必要な個数備えているか。
消毒する装置とは、壁や洗面台に固定されていて動かせない状態である必要があり、市販のハンドソープ等を置くだけではだめです。
また、水栓はセンサー式やハンドル式など洗浄後の再汚染を防げるものでなければならず、従来の握って回すタイプの水栓はNGとなりました。 - 洗浄設備
食品や食器等を洗浄するため、必要な大きさ・数の洗浄設備を有しているか。
少なくとも、食材の洗浄と食器の洗浄を分けるため、シンクは2槽式以上でなければなりません。
また、シンクのサイズも幅45cm×奥行き36cm×深さ18cm以上などという目安があります。(ただし、保健所により基準が異なることがありますので、設備の手配の前に事前確認が必要です。) - 保管設備
原材料や食品を適切な温度で汚染防止が可能な状態で保管できる設備が備えられているか。
冷蔵庫内の温度計の設置、食器棚には扉が必要です。戸のないオープンタイプの食器棚は認められません。 - トイレ
手洗設備を備え、作業場に影響のない場所に設置されているか。
お客様が使用できるトイレは、テイクアウト専門店の場合は不要ですが、客席を設ける場合、店舗の床面積により必要な設置数が決まってきます。
・10㎡以上:男女それぞれ1つ
・100㎡以上:男女それぞれ2つ以上
このように一部の基準だけでも様々な要件が求められます。
工事の発注後に基準を満たしていないことが発覚した場合、大きな追加出費や開業の遅れが生じてしまいますので、事前確認はしっかりと行うようにしましょう。
許可を受ける者が欠格要件に該当しないこと
以下のいずれかに回答する場合には、営業許可を受けることはできません。
- 食品衛生法又は同法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
- 食品衛生法の規定により許可を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
- 法人であつて、その業務を行う役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
飲食店営業許可取得~営業開始の流れ
それでは、実際に飲食店営業許可を受けるまでの流れを見ていきましょう。
具体的な手順は以下のとおりです。
営業開始までの流れ
・手順1_保健所に事前相談を行う
・手順2_申請書類を提出する
・手順3_保健所の立会い検査を受ける
・手順4_飲食店営業許可証の交付を受ける
・手順5_営業開始(実は許可書交付前でも開始できる)
手順1_保健所に事前相談を行う
スムーズな営業開始のためには、保健所への事前相談が重要になってきます。これまで説明してきた通り、許可取得のためには様々な要件のクリアが必要です。
特に設備等に関しては、要件を満たさず工事のやり直しや、最悪の場合、決めていた物件で営業ができないなど開業そのものが危機に陥るなど大きなリスクを伴います。
店舗の施工業者から設計図が出来上がってきたら、工事開始前の早めに管轄の保健所に相談に行きチェックやアドバイスを受けましょう。保健所で相談費用はかかりません。
この段階で、食品衛生責任者の取得が済んでいない場合は、申請前までに講習を受け修了証を取得しておいてください。
手順2_申請書類を提出する
事前相談で店舗の設計等に問題がないことの確認が取れたら、工事に着手できます。工事が完了した段階ですぐに保健所の立会い検査が受けられるよう、申請書の作成をし、添付書類を揃えて提出をします。
申請時期は、工事完了の10日前までとしているところが多いですが、保健所によってはオープン予定日の2週間目などというケースもあります。事前相談の時に確認しておくとよいかもしれません。
申請に必要な書類は以下のとおりです。(東京都の場合)
1.営業許可申請書(1通)
2.施設の構造及び設備を示す図面(2通)
3.食品衛生責任者の資格を証明するもの
4.水質検査成績書(水道水、専用水道、簡易専用水道以外の水を使用する場合)
5.許可申請手数料(18,000円※保健所により異なる場合があります)
申請の際、保健所担当者と立会い検査の日程等について打ち合わせを行います。
手順3_保健所の立会い検査を受ける
店舗の工事完了後、保健所職員による立会い検査を受けます。
万が一、設備基準に適合しない箇所があった場合には、追加工事等改善後に再検査を受けることになりますので、申請者自身も規定通り工事が進んでいるか把握しておくべきでしょう。
手順4_飲食店営業許可証の交付を受ける
立会い検査の結果、無事合格した場合には、検査の日から概ね1週間程度で営業許可証が交付されます。具体的な交付予定日は、立会い検査の時に教えてもらえます。
交付方法も窓口交付や郵送など保健所によって対応が異なります。
交付を受けた営業許可証は店舗の見える場所に掲示しましょう。
手順5_営業開始(実は許可証交付前でも開始できる)
おめでとうございます!保健所の立会い検査に合格したら、あとはオープン初日を待つだけです!
営業許可証が交付されてから営業を開始する方が多いのですが、実は保健所内で許可の決裁が下りた時点で営業許可がでたとみなされるのです。
多くの場合、検査の日から数日で決裁がされます。そこから営業許可証の交付準備がされ、結果として検査から交付まで約1週間かかることになります。
営業許可証は許可がされたのちに受け取ることでもよいとされるケースが多いため、検査に来た保健所の担当者に相談してみるのもよいかもしれません。
これによって、検査から営業開始までの日数を約1週間から数日まで短縮できる可能性があるのです。
その他の必要な届出
飲食店営業許可証の取得に関しては上記のような内容となりますが、お店の営業形態等によって、必要な追加の届出等が変わってきます。
代表的なものをいくつか挙げておきます。
防火対象物使用開始届(消防署):原則すべての方
防火対象物使用開始届とは、管轄の消防署が、主に「どの建物(または建物内)を誰がどのように使用しているか」や「消防法で規定されている消防用設備等の設置状況を確認する」ことなどを目的に各自治体の条例で提出が義務付けれれている書類です。提出しない場合には消防法違反となり、行政処分の対象となることがあります。悪質な場合は1億円以下の罰金、または3年以下の懲役という罰則まであります。
- 提出義務者:使用しようとする者(テナントの場合、テナントを借りる人です)
- 提出時期:使用開始の日の7日前
- 提出書類:防火対象物使用開始届出書、概要表、平面図、立面図、断面図、室内仕上表、建具表、防火基準に適合することについて審査をするために必要な事項を記載した図書、火気使用設備等又は火気使用器具等を設置する場合は、その位置、構造等の状況を示した図書等
- 法定費用:0円
防火対象物工事等計画届(消防署):工事を実施する場合
居抜物件で内装もそのままで営業開始をする場合には不要ですが、建築、修繕、模様替え、用途変更のための工事を行う場合は防火対象物工事等計画届の提出が必要です。
大規模な工事を行う場合だけでなく、客席レイアウトを変更し避難経路が変わる場合も提出が必要となるケースがありますので、注意が必要です。
- 提出義務者:
- 提出時期:工事を始める日の7日前まで
- 提出書類:防火対象物工事等計画届出書、防火対象物概要表、案内図、平面図、詳細図、立面図、断面図、展開図、室内仕上表及び建具表等
- 法定費用:0円
防火管理者選任届(消防署):収容人数30人以上
客席数30席以上を有する場合には、防火管理者を選任し、店舗の使用開始7日前までに管轄の消防署に届け出る必要があります。
選任される人は防火管理者の資格が必要となります。
また、この防火管理者は延べ床面積により「甲種」と「乙種」に分かれており、必要な免許を取る必要があります。ただ、免許といっても、講習を受け即日発行されるものです。
- 甲種防火管理者
収容人数30人以上かつ延べ床面積300㎡以上の場合必要。
2日間で10時間程度の講習受講後、即日発行。 - 乙種防火責任者
収容人数30人以上で延べ床面積300㎡未満の場合必要。
1日のみの講習受講後、即日発行。
甲種を取得している場合、乙種を改めて取得する必要はない。
消防計画作成届(消防署):収容人数30人以上
客席数30席以上を有する場合、選任された防火管理者が「消防計画」を作成し管理する必要があります。
消防計画に特に決まった様式はありませんが、作成例を公表している自治体などもあります。提出時は、届出書に作成した消防計画を添付し届出ます。
深夜酒類提供飲食店営業開始届(警察署):深夜0時以降の酒類提供
- 深夜0時以降に酒類を提供する場合
- 酒類の提供がメインの営業形態となる場合
上記2つが該当する営業を行おうとする場合には、深夜酒類提供飲食店営業開始届(通称「フカザケ」)の届出が必要になります。
この場合、飲食店営業の要件のほかに、店舗の所在場所について都市計画法上の用途地域の制限なども掛かってくるので注意が必要です。
なお、主食をメインとするお店(例えばファミリーレストランやラーメン店など)が酒類を提供する場合は適用されません。ただし、どこから届出が必要になり、どこからが不要なのかという点は、その所轄の警察署の判断により適用が変わってきますので、安易な判断はせず、必ず確認をとるようにすることをおススメします。
風俗営業許可(警察署):客の接待を伴ったり低照度で営業する場合
風俗営業許可は何も性風俗に限る許可ではありません。飲食店においても、お客様にお酌をしたり会話をしもてなしたりまたは客席の照度10ルクス以下で営業する場合などは、風俗営業許可(1号営業、2号営業)が必要となります。
近年、ガールズバーやコンセプトカフェの風営法違反による摘発事例が増えています。風営法の許可が必要な営業については、別途記事を書きたいと思いますが、通常の飲食店経営において、意図しない形で違法営業とならないよう気を付ける必要があります。
これらはあくまで一例です。ご自身の開業しようとする形態や立地等によりほかにも必要な手続きがあるかもしれませんので、事前に役所等に確認する必要があります。
まとめ
飲食店の開業には必ず必要な「飲食店営業許可」について解説してきました。
開業を成功させるためには、いかにスムーズなスタートを切れるかが大きなカギとなってきます。
そのためには、事前に何を準備すべきか、必要な手続きは何かを十分把握し、準備していることが許可の要件にあっているか、管轄の官公庁にしっかりと確認しながら進めていくことが重要です。
また、これらの他にも、スタッフを雇った場合の手続き、税務関係の届出等、飲食店を開業すると本業以外の数多くの手続きが待っています。不安な方は、行政書士等専門家に相談されるのもよいでしょう。
投稿者プロフィール

- Ville行政書士事務所 代表
- 公務員、各種士業事務所(弁護士・税理士・社労士・土地家屋調査士)職員及び事務局長、不動産会社代表取締役等を経て行政書士事務所開設。
現在は飲食店のスタートアップ、経営改善支援に力を入れている。
(資格等)
特定行政書士、申請取次行政書士、宅地建物取引士、freee会計エキスパート、デジタル庁デジタル推進委員
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