
開業に必要な資金の内訳と調達先
飲食店の開業を考えている多くの方が、最初に直面する課題が「資金調達」です。開業に必要な資金の内訳や、資金をどのように調達するかを理解することで、資金面での不安を軽減し、スムーズな準備が進められます。本コラムでは、飲食店の開業に必要な資金の内訳、資金管理の方法、そして効果的な資金運用について解説します。

必要な開業資金の内訳
飲食店の開業に必要な資金は、店舗の規模や業態、立地によって大きく異なります。
例えば、都市部の小規模なカフェの開業では、数百万円から1000万円ほどが一般的ですが、高級レストランや広いスペースを必要とする店舗ではさらに多くの資金が必要です。
また、実際に開業準備をしだすと、予想外の出費やこまごまとした経費がかさんでしまうことも多いため、見積もった必要資金より10~20%程度予備資金として確保しておくことをおすすめします。
なお、主な費用項目は以下の通りです。
- 物件取得費用
営業を行う物件の契約や取得に関する費用。
賃貸物件の場合は保証金や敷金、礼金などが含まれます。
地域・物件によって異なりますが、保証金は賃料の6ヶ月分が一般的です。 - 内装・設備費用
店舗の設計・施工費用や、キッチン設備、照明、家具、看板などの購入・設置費用。
内装工事費用は、同業種の居抜物件であれば費用が抑えられます。
ただし、食品衛生法の改正等により、従来は許可が通っていた物件でも、現行制度では追加工事が必要となる場合があるので、注意が必要です。 - 備品・消耗品費
食器、調理器具、レジ、ユニフォーム、事務用品などの初期調達費用。 - 許可・申請費用
飲食店営業許可や消防関連の届出にかかる費用。
飲食店営業許可申請の役所に納める法定費用は、東京都であれば18,000円(2024年6月現在)です。 - 広告・マーケティング費用
開業当初は、よほどの好立地でない限り、あなたのお店がオープンしたことを認知してもらえません。一定の固定客がつくまでは、SNS、チラシ、ポスター、インターネット等の媒体を利用し集客を行う必要があります。 - 運転資金
開業直後の数か月分の家賃や光熱費、人件費、仕入れ代などを賄うための資金。半年程度は確保したいところです。
資金調達の方法
自己資金
これまでの貯蓄や金融資産を開業用に充てる資金です。持っている資金全額を充てるのではなく、当面の最低限の生活資金を差し引いたものが、自己資金として用意できる資金となります。
自己資金で不足する場合は、他からの資金調達が必要になりますが、金融機関からの融資を検討する場合、自己資金が多いほど、金融機関からの信用も得やすくなります。目安としては、総開業資金の30~50%が理想です。
金融機関からの融資
最も一般的な資金調達方法です。以下の金融機関からの融資が考えられます。
政府系金融機関
日本政策金融公庫などは、新規事業者向けの融資制度を提供しています。初めて事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方には、比較的金利の低い「新規開業資金」利用できる可能性があります。また、若者・シニア・女性など開業する方の属性に合わせて各種メニューも用意されています。
銀行や信用金庫
銀行や信用金庫、信用組合からの事業ローンは、事業計画がしっかりしていれば高額の借り入れが可能です。事業計画書の精度や開業する方のこれまでの経験などが審査の重要なポイントとなります。
なお、信用金庫や信用組合に比べ、銀行は審査のハードルは高くなります。
親族や知人からの借入
信頼関係のある相手から資金を借りることで、銀行融資よりも柔軟な返済条件が期待できます。ただし、金銭が絡むとトラブルが生じることもあるため、口約束ではなく書面での契約を行い、返済条件を明確にすることが大切です。特に、知人・友人からの借り入れはおすすめできません。
クラウドファンディング
開業前から話題を集めたい場合、クラウドファンディングは有効な手段です。自店のコンセプトやメニューを事前にアピールし、共感を得た支援者から資金を募ることができます。支援者へのリターンとして、開店後の優待券や特典を提供することも可能です。
株式会社設立による株式の発行
株式会社を設立する際、「募集設立」という形態をとり、第三者より資金を集めることも可能です。これは、出資をしてくれる人を広く募り、株主となってもらう方法です。
ただし、法人設立の適否や、株主に第三者が含まれることによる会社のガバナンスの問題等、メリット・デメリットを考慮して実施すべきです。
補助金・助成金の活用
上記までの資金調達の方法とは異なり、一旦手元資金での支出を伴いますが、国や自治体が提供する補助金や助成金を活用するというのも経費圧縮には有効な手段です。必要な経費で助成金や補助金の対象となるものがあれば申請を行い、審査が通れば、その費用の一部を補填してもらえます。
キャッシュフローが重要な創業期に、後追いでも支出した費用が戻ってくるのは、確実に事業をやっていく上では大きなメリットといえます。
特に、行政側も開業を後押ししたいという政策方針があり、創業関連の補助金メニューは充実している傾向にあります。
資金運用のポイント

- コスト管理
初期投資と運転資金を計画的に管理し、予算オーバーを防ぐことが必要です。特に内装費用は、見積もりよりも大幅に超えることがあるため、複数業者から見積もりを取るべきです。
また、営業開始後も思わぬリスクにさらされることがあります。事業経験が少ないと、「帳簿上の利益が増える」=「手元現金が増える」ではない、ということに気づいていないことがあるためです。従来の飲食業は現金売上が主であったため、収入が先で支払いはあと、ということが多かったのですが、キャッシュレス決済が浸透した現在では、売上がしばらく経ってから入金されるということも多くなりました。キャッシュフローの管理はしっかり行いましょう。 - 収支計画の見直し
開業後も定期的に収支計画を見直し、必要に応じて運営戦略を修正します。 - リスクマネジメント
開業直後は売上が安定しないことも多いため、十分な運転資金を確保しておき、予測外の出費にも対応できるよう準備しておきましょう。
まとめ
飲食店の開業は、情熱だけでなくしっかりとした資金計画が必要です。自己資金と調達資金のバランスを考え、効果的な資金管理を行うことで、開業後の経営を安定させることができます。資金調達や開業準備に不安がある場合は、知見のある専門家に相談することをお勧めします。
当事務所では、営業許可の取得だけではなく、ご要望により財務分析や事業分析を行い、経営者様が気付いていないリスクのご案内や改善アドバイス、サポートも行っております。
投稿者プロフィール

- Ville行政書士事務所 代表
- 公務員、各種士業事務所(弁護士・税理士・社労士・土地家屋調査士)職員及び事務局長、不動産会社代表取締役等を経て行政書士事務所開設。
現在は飲食店のスタートアップ、経営改善支援に力を入れている。
(資格等)
特定行政書士、申請取次行政書士、宅地建物取引士、freee会計エキスパート、デジタル庁デジタル推進委員
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